メモ

●論文(中村享一)

・「地方の時代」の建築を問う

第1章 序


第2章 「地方」とは

第3章 「ポスト地方」と「世界」

第4章 手法について

世界地図

第3章 「ポスト地方」と「世界」

「地方」にとっても「中央」にとっても経済の問題は重要です。流通の要に中央(都市)は存在しますが、その流通する容量が大きい程経済は大きくなります。中央(都市)にとって流通はスムーズであるのか、流通の為の都市機能は充分であるのか、これは大事なことです。最近の中央都市にはペーパーの流通のみが存在する様に見えます。あたかもバブルの様にという見方は行き過ぎでしょうか。情報が国内において中央に集中している必然性があった時には、都市の経済は豊かであったでしょうし、地代が上昇していっても経済は成立しました。ただし、その背景には円が安いということと成長し続けてきた経済社会がありました。急激な円高と世界経済の変化に対し肥大化した中央(都市)進むべき方向を見出せないでいます。中央(都市)にとって、経済的生産性の低い中央の高額な土地は大荷物になっています。ペーパーのみの流通は他にも複雑な社会機構を生みだしてしまいました。円高になった日本の経済市場は諸外国にとっては是非ともくいこみたい市場です。我々が今まで考えていた日本国内の中央と地方という構図は崩壊し始めています。中央は大きな「地方」へと変化していき、「地方」も世界の中で他都市や地方と並べて考えることのできる「地方」に変化しなければならなくなって来ています。それはまさしく「ポスト地方」の概念です。

経済だけでなく技術も大きな変革期を向かえています。情報機械は言語及び経済をも変化させ始めています。世界のなかで並べる都市を見出さねばなりません。「ポスト地方」のスケールを見出さねばならなりません。そしてその地方において経済を自立させる為には流通のあり方をその地方において構築しなければならないし、世界とネットワークできる交通アクセスが必要になります。

九州だけを考えたとしても日本のGNPの約10%があります。それは世界のかなり上位のランクに位置します。又、都市間の交流にしても、中国大陸・朝鮮半島は言うに及ばず東南アジア・ヨーロッパの多くの都市・インド・オーストラリアと歴史的には深いつながりがあります。世界のいろいろな「都市」及び「地方」と並べる「ポスト地方」へとシフトしていくのが望ましいと考えることができます。そのためには情報機械とか流通機能をどう地方都市に取り入れた計画をするか、都市と建築共に我々は関わっていく必要性があります。

一宇一級建築士事務所
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