Architectural Regenaration Design Conference

建築再生デザイン会議  第一回長崎会議報告


中村享一/建築家

建築再生デザイン会議が5月2日と3日に日本建築家協会と日本建築学会の後援を得て長崎で開催された。第一回の会議は、被爆復興を目的とし長崎文化都市建設法をうけて建設された旧長崎水族館をエクザンプルとして討議を行った。主題は「建築の臨終と再生を考える」である。新しい建築物を生み出すことに大きなエネルギーを費やしてきた我々は使い続けることや、建物の終わりを見届けることにも関係を持つことが重要になってきたのではないだろうか。最近の建築事情を見ていると簡単に建築物が取り壊されていく様に見える。要因はさまざまであろう、しかし反省もその建築が残した功績もかえりみることなく、解体業者によって建築産業廃棄物と化していくのである。多くのケースの場合造り手も使い手も無関心を装い経済的な事情を前面に出す、または構造的な問題を理由とする。「人々とのコミュニティーを大事に、物も人も大事に」と日常的に言われているのは、何なのだろうか、私には空しく響いてくる。日本は近代産業や近代建築から何を学び、また日本建築がもっていた文化の何を失ってきたのだろうか?

我々は20世紀の最後の年と21世紀最初の年の2年間で4回の会議を行い次世紀のために繋げることができるような議論を深めていきたいと考えている。今回の長崎会議の基調報告やセッションのデータ−はホームページhttp://www.i-kyushu.or.jp~ardc上でレポートを行っているので、是非のぞいてみてほしいし、何らかのかたちで参加してほしいと希望している。Yahooに建築再生と検索入力することでもアクセスできる。

この会議は法人及び個人の支援金で運営されている。大学、一般企業の他に、デザイン会議の趣旨に賛同する個人に呼びかけを行いながら資金を調達している。会議メンバーも支援者となり、会場費、交通費や宿泊費の実費を捻出している。建築再生デザイン会議が取り上げたような、重要ではあるが晴れがましくない主題に対して支援者及び支援金を集めながら会議を進めていけるのか、建築の文化がまさに問われることになる。講演録や会議録及び会議のために準備した資料などを出版できるところまでこぎつけたいと考えている。会議は長崎会議において始まったばかりであるが、長崎での会議は問題提議を含めた意義ある内容であった。次回の第二回東京会議は早稲田大学大隈講堂をエクザンプルとして11月4日に行う計画である。
建築家協会の会員の積極的な参加を期待している
(JIA NEWS2000 8月号より)


 ARDC TOP

(c) copyright Architectural Regeneration Design Conference All Rights Reserved      (最終更新日8/22)